零~月蝕の仮面~

零~月蝕の仮面~

零~月蝕の仮面~

日本を代表するホラーゲーム零シリーズの第三作目。

今回は因習が支配する孤島が舞台、相変わらずのホラー演出が素晴らしいです。特にアイテムに手をのばしたとき不意打ちで幽霊に手を掴まれるのはドッキリ要素強いです。それも毎回じゃなく、五回に一回とかの確率なのでいつくるかわからないのがさらに怖い。
登場人物も魅力的です。クリア後のおまけでは遊び心たっぷりのイロモノコスチュームに着せ替えできて、本編の感動的な余韻やら陰鬱な雰囲気が吹き飛びます。
零シリーズの魅力といえば複雑な人物相関図と心情の掘り下げですが・・・・

今作の舞台はやばい孤島

今作は血族が経営する孤島のヤバい病院が舞台ということもあり、昼メロ要素というか愛憎ドロドロ泥沼要素が増してた気がします。

写真を撮るのに成功したのち説明を読むことで初めてわかるキャラクター同士の関係性や構築できる推理があり、緊迫感の持続する展開にのめりこみます。特に亞夜子の部屋と車椅子の患者の幽霊は怖かった。サウンドにもこだわっていて、可聴域ギリギリの不快な音が一層恐怖を盛り上げます。
今作はただのホラーではなく、ある出来事から運命を狂わされたキャラクター達が過去の呪縛を断ち切るドラマ性を重んじています。個人的には霧島長太郎と灰原耀の、追うものと追われるものの息詰まる関係性にぐっときます。長四郎を視点人物として操作してると、真実がわかった時の寂寥感はものすごいです。キャラクターに感情移入させるのが上手いゲームです。

戦闘パートも緊張感があってよかったです。基本撮るだけのシンプルな操作ですが、だからこそ亡霊との距離感がじりじり狭まっていくのがプレッシャーです。夜に探索するので画面が暗く、視界が不明瞭なのもまるで自分がそこにいるかのような臨場感を醸し出します。
また、病院や島を徘徊する幽霊の写真をコレクションするのも楽しいです。一人一人に背景が用意されているので、断片を繋ぎ合わせて全貌が見えてくると「そういうことだったのか……」と、一層プレイ後の余韻が引き立ちます。

ラストバトルで流れる音楽も非常に美しく感動的で、怖さよりも切なさに涙しました。エンディングまで含めて完成度が高いです。零シリーズは全部プレイしてますが、今作がいちばん面白く映像美にこだわってると感じました。ゲームとしての面白さは勿論、物語としての重層的な深みに圧倒されます。神秘的な月明りがとても怖くなる、忘れられないゲームになりました。

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